宣教題 : 「ひとりの誕生が世界を変える」 宣教: 鎌野 直人 協力牧師
聖 書 : イザヤ書 7章1節~17節
クリスマスは、「神は我々と共におられる」(マタイ1:23)と呼ばれる男の子の誕生を祝う日である。そこで述べられているイエスの誕生の預言は、イザヤ書7章をその背景としている。
1.戦いに巻き込まれるダビデの家の王
紀元前8世紀、イスラエルの王ペカとアラムの王レツィンは同盟関係を結び、大国アッシリアに対抗しようとした。ユダの王アハズはこの同盟に加わらなかったため、二人の王の軍隊からの攻撃を受け、ユダの民はそれゆえに動揺した(1−2)。
主は預言者イザヤを通して、彼らの計画は実現しないと断言した。主がダビデと結んだ契約のゆえに、「タベアルの子を王としよう」とする計画を挫くからである(7)。だから、主を信じて、堅く立つために(9)、イザヤはアハズにしるしを求めよ、と勧めた(11)。しかし、アッシリアの軍隊という目に見える武力こそがユダの安泰のしるしだと考えるアハズは、主からのしるしを求めなかった(12)。
2.ひとりの誕生というしるし
アハズの思惑を見透かした主は、自ら彼にしるしを与えた。それは、妊娠しているひとりの若い女性が男の子を産むこと、彼女が彼をインマヌエル(神が我々と共におられる)と呼ぶことであった。この子どもが三歳になる頃までに、ふたりの王とその国は滅ばされると主は約束された。主が与えたこのしるしそのものは、小さく、普通の出来事である。しかし、それが、神は世界を動かし、変え、ダビデとの契約を守ることを表している。
イエスの誕生は、ベツレヘムという小さな町でひっそりと起こった。しかし、神はそこに共にいて、働かれていた。だから、イエスの誕生は、神が驚くべきことを世界中になされることを表すしるしとなった。このように、小さいことと思える出来事も、神の大きな計画の欠くことのできない一部を担っている。どのような状況下でも動揺することなく、むしろ「神が共におられる」という信仰に立ってなされる小さな愛のわざは、同様に神が世界を変え、ご計画を進めておられる、という驚くべき事実を指し示すしるしである。